「隋園食単」の訳註者青木正児が中国の料理やお酒について書いたエッセイ集であるが、昭和前期の中国文学者らしい文体で、現在では論文を読んでいるような気分になってしまう。自序によると昭和22年(1947)が初刊。特に「粉食小史」「愛餅の説」「愛餅余話」「饅純の歴史」に小麦粉料理の変遷が詳しい。 中国ではやはり水餃子(饅純)が主流であるのかと認識させられた1冊。
上海出身の日中比較文化史が専門の著者が、時代と共に変遷した中華料理の歴史をたどる。料理だけにとどまらず箸やテーブルといった食べるための道具にまで論考していくところがこの本の特徴。また「ラーメンの年輪」での西域との交流と、小麦粉の輸入の項は餃子の歴史を考える上で大変に参考になった。「餅」にも項をたて、「華国風味」の青木先生と項のとりかたの一致を見た点は、注目に値する。少々硬派だが、文も読みやすく中国料理文化を理解する上では大変ありがたかった。